とある冷凍の肉団子の注意書きに「湯煎で十分加熱してください」と書いてありました。
私は「10分加熱すればいい」と解釈し、その通りに湯煎で10分過熱しました。
そして食べてみると、表面は熱かったのですが、中はまだ冷たかったです。
書いてある通りに温めたのに、どうしてこのような結果になってしまったのでしょうか。
その答えは解釈の違いにありました。
「十分」は「10分」という意味ではなく、よく加熱するほうの意味の「十分」だったのです。
まさかこのような罠が仕込まれていたとは思ってもいませんでした。
適切な加熱時間が書かれているという先入観があったのでしょう。
アバウトな書き方だとは夢にも思わず、食べたときの冷たさは夢であって欲しかったです。
現実は冷たいものでした。
失意の中、肉団子を温かなご飯の中に埋めてみました。
悲しみを癒すためには時間が必要です。
長い冬も、いつかは春がやってきます。
周りの温かさに触れることで変わっていくのです。
そして冷たかった肉団子も温かくなりました。
私のお腹と心が満たされ、温かな気持ちになりました。
「十分加熱してください」の罠から始まった物語でした。